第19章 Marry me !!
あるデートの日。
あれ?
エリの香りが違う。
エリがいつも使っているのは
L⭐NCOMEの“ミ・ラ・ク”という香水。
スパイシーとフローラルが重なった
スッキリ系の香りは
活発で華やかなエリにピッタリ。
『いろいろ使ってみたけど、
これが一番、自分らしくいられるんだよね』
…と、ピンク色で四角いシンプルなボトルを
見せてくれたことがあるから、覚えてる。
(ちなみに俺は、BVLG⭐RIのblue プールオム。
エリがこれをプレゼントしてくれてから
香水をつけるようになった。)
今日のは、"ミ・ラ・ク"より
なんだか少し甘くて、
ふんわり柔らかい。
『香水、変えた?』
エリは、キラッと笑って言った。
『あ、気づいてくれたんだ!
…季節の変わり目だしね、
ちょっと柔らかい香りもいいかな、と思って。』
『ふーん…何て言うヤツ?』
斜め上を向いて
思い出すようなポーズで考えるエリ。
『えぇとね、LANV⭐Nの…
あれ、何て言うのだっけ?
忘れちゃった、エヘヘ。』
『そっか。いいじゃん、
俺、この香りも好きだよ。
新しいエリのイメージだ。』
嬉しそうに笑って
腕を組んできたエリからは
確かに、
柔らかで女性らしい、
それが男心に響く、
魅力的な香りがしてた。
…その日は、
そこまでの話でしか
なかったのだけれど。