第19章 Marry me !!
集団から外れて立ち止まってた俺に
先輩達が声をかけてくる。
『おーい、木葉、どした?』
『行かねーの?』
『…すんません、ちょっと、』
『木葉っ?!』
先輩達をおいて、
エリちゃんの方へ走り出す。
面倒くさそうに、
でも大人の笑顔で
酔っ払いの相手をしてるエリちゃん。
『エリ!』
…堂々と、呼び捨て。
俺、彼氏だから。
エリは、彼女だから。
スッゲー、ビックリした顔。
『…木葉君?!』
『なに他人行儀な呼び方してんだよ。
はいはい、ちょっとすんませーん。
このいい女、俺の彼女だから。
気軽に声、かけないで~。』
手を、繋ぐ。
『行くぞ、エリ。』
『あき、のり…』
酔っ払いの間をかいくぐり、
彼女を連れて歩き出す。
『おーい木葉、お前、何してんの?』
『まさかの抜け駆けナンパ?』
…やべ。
先輩たちがまだいたんだ。
彼女の肩を抱いて、そこへ行く。
『すんません、俺、こっからは
彼女のエスコートなんで。
クラブはまた、誘ってください。
先、失礼します。』
みんな、目を白黒させてキョトンとしてる。
『…木葉の、彼女、なの?』
『お前、彼女、いたのかよ?』
離さない。
肩をしっかり抱いて、紹介する。
『オレの彼女の、エリです。』
俺がそう言った時の、彼女の顔。
大きくて真っ赤な
ハイビスカスの花が咲いたように
パアッっと明るく輝いて。
『秋紀!』
いつものあの、
外人みたいなオーバーリアクションで
俺の頬にキスをしてくる。
『ひゃー、なんだよ、アツアツか!』
『木葉、やんなぁ!羨ましいぞ~っ。』
バカ、恥ずかしいじゃん、やめろよ、
…なんて、言わない。
これが、エリの魅力。
いつでも気持ちが真っ直ぐ、
言葉と行動に表れる。
それを受けとめられる俺でいたい。
俺も、同じように
気持ちを伝えられる男になる。
中途半端はカッコわりぃからな。
堂々と。
俺の女、お前の男、って
言える相手でいようぜ!