第5章 ヴァージンロード~月の道~
そんな蛍に
『ねぇ、ケッコンってどう思う?』と
きかれたのは、私の30歳の誕生日
…ちなみに、コトを終えたベッドの中…
でのことだった。
『今日で30なんデショ?
そろそろ考えた方がいいんじゃない?』
『そんな、ヒトゴトみたいに言われてもね。
私1人じゃ、どーしよーもないし。』
『ケッコン、したいの?』
『どっちでも。』
『じゃ、しなくてもいいんだ?』
『…どっちでも…』
『はっきりしなよ』
…なんか、せっかくの誕生日なのに、
ちょっとムッとくる展開なんですけど…
『まぁ、1度はしてみたいかな、とは思うよ。』
『へぇ。誰と?』
『…誰かと。
私に、ちゃんとプロポーズしてくれる誰かと。』
『そんな人、いるの?』
『…わかんない…』
『あれれ、自信ないんだ。
憧れのプロポーズとか、妄想したりするわけ?』
『別に、夢見る年頃でもないし
言ってもらえるなら、何でもいいよ。』
『ふーん。』
『ふーん…って、それだけ?』
『のどが乾いた。』
…なんか、ちょっと悲しい。
せっかくの誕生日なのに、
こんな気持ちにしないでくれる?