第18章 誓いの言葉
眠りから目覚めたのは
電話の着信音だった。
『…京治さん、起きて。電話、鳴ってる。』
『…ん、ほっといていい…』
一旦切れた電話は、
またすぐに鳴り出す。
『…誰だよ…』
さすがに無視できず、
まだ半分眠ったままの様子で
ベッドから起き上がり、
脱ぎ捨てた服のポケットから
スマホを取り出した。
そのまま、またベッドに戻ってくる。
『…もしもし…』
枕元のデジタル時計を見ると、
もうすぐ9時。
ゆうべは遅くまで
…触れあって…いたから
寝たのは朝方だった。
帰国したばかりの京治さんは
きっとまだ、疲れがとれていないはず。
京治さんを見ると、
スマホを持ったまま、また
ベッドに寝そべろうとしている。
眠くて不機嫌そうな感じ、
子供みたいでかわいいな、
そう思って見ていると、
急に京治さんの背筋が伸び、
声がシャンとした。
『はい…お久しぶりです。
あの、いろいろと…はい。
え?この後?週明けに伺おうかと…』
もう、仕事の話?
そう思いながら横顔を見つめていると、
私にチラリと目をやる京治さん。
『…今、一緒にいます、ここに。
…わかりました。はい、』
この言葉遣いで
私にも関係ある人、といったら…
電話を切った京治さんは、
さっきとは別人のように
表情が締まっていた。
『…社長から、だった。』
やっぱり。
『この後、小春も一緒に来い、って。
…どうする?』
『行きます。婚姻届のお礼、言わなくちゃ。』
『じゃ、悪いけど、同行して。…まだ眠い?』
『ううん、大丈夫。すぐ、準備するから。』
…社長に会うのは、私も3年ぶり。
京治さんにプロポーズされた以上は
私にとってもまたご縁のある人となる。
しっかりした姿でお会いしないと。
…眠さや気だるさは、一瞬で吹き飛んだ。