第18章 誓いの言葉
『木兎さん、木葉さん、赤葦君、久しぶり!』
『やっくーん!突然、ごめんな!
…おお、プランナーちゃんも!元気?』
『はい。木兎さんの活躍、見てますよ~。
ヨントリーとゼブラの対戦のときは、
どっち応援しようか、いつも迷ってます。』
『そこは迷わず、俺を応援してほしーっ(笑)』
『赤葦君、おめでとう。』
『夜久さん、お久しぶりです。
お騒がせして、すんません。
俺も、三年ぶりに帰国したその日に
こんなことになって
今、まだ若干、戸惑ってんですけど(笑)』
『いいじゃん、形って大事よ!
…じゃ、早速だけど、行こう。
他の社員には、
新規の見学ってことにしてあるから。』
『あ、そんじゃぁさ、木葉達、
今日、見学してここで挙げろよ。
そしたらウソじゃねーだろっ。』
『あれ、木葉君たち、式、まだなんだ。
その時は、声かけて。
うちの敏腕プランナーが手掛けるよ、な、早瀬。』
『敏腕じゃないけど、喜んで!
料金交渉は、それこそ敏腕営業マンの夜久君が
全力でなんとかしますから(笑)』
…そんな話をしながら、
木兎さんご夫婦、
お友だちの木葉さんとエリさん、
そして、今夜の主役、
赤葦様と彼女の小春さん、
私と夜久君の8人で、夜のチャペルへ。
急でしたので、
ドレスもタキシードもなしですが、
赤葦様は、
きっちりとアイロンのかかった
着心地のよさそうなシャツ、
そして小春さんは
今日のお昼に買ったばかり、という
夏らしい爽やかな白いワンピース、
手には、
木兎さんの奥様とエリさんからプレゼントされた
白いダリアとサンダースソニアを使った
小さなブーケ。
…夏の花といえば
ヒマワリやアンスリュームのような
大ぶりで印象深い花を想像しがちですが、
今日の服装、
そして、小春さんの可憐なイメージには、
こちらの方がお似合い。
さすが、親友のお見立てです。
重たいチャペルの扉を閉めれば
そこは、静かな空間。
ガラスの向こうには、
大きな月と黒い海、そして
波を縁取る白い飛沫と光の風景が
まるで絵のように広がります。
主役のお二人が祭壇に立ち、
お友だちの皆さんはゲスト席に。
私が司会を、
夜久君が介添えをお手伝いしながら
主役をあわせて8人の、
小さな結婚式が始まりました。