第18章 誓いの言葉
京治さんと離れて
3度目の夏。
神奈川での暮らしにも
すっかり慣れた。
…京治さんがいない暮らしにも。
忘れたわけじゃない。
やっぱり、大好き。
でも、
今となっては
あの日々は、
夢だったのではないか、
…と思えるようになってきた。
もしくは、
想い出だから、
少し、美化してるのかも、と。
京治さんを越える人は見つからない。
見つからないなら、
誰か違う人との未来を探す、
という手段もある、と思うし、
見つからないなら、
ずっと独身、というのもありかな、とも思う。
とにかく、
思い出してヒリヒリする、
という時期は通りすぎた。
忘れられないけど。
それだけ“特別な恋”だった、と納得している。
人は、変わる。
3年もたてば。
私だけじゃない。
きっと京治さんも同じ。
『待つな。』と言った彼の言葉が
どれだけ正しかったのか、よくわかる。
じっと待っていたら、多分、私は、
すごく狭い世界で生きていたに違いない。
出会いや別れで気付くことを見逃して、
自分の歩いていく道を
自分で選ぶ、という
当たり前の覚悟さえ
見失っていたに違いない。
最初の頃は
ことあるごとに想像していた
『もし、次に京治さんに会えたら…』
ということも、考えなくなった。
意味がない。
3年の年月。
私が思った通りの京治さんではないはず。
私以上にいろんな経験をし、
いろんな人と出会い、
いろんな修羅場をくぐり抜けて…
私なんかの想像より
ずっと男をあげているだろう。
だから、
考えても意味がない。
過去に、甘えない。
あの日より少しでも
女としての価値をあげていたい、
…とは思うけど。
いい男になっているであろう
京治さんの横に、
気後れすることなく並べるように、
経験を積んだ京治さんの
話し相手になれるくらいには
世間を知っていたいと。
…私も、そのくらいは、強くなった。
ずっと私を見守ってくれた
憧れのお姉さんたち…
この人たちのおかげで。
『小春ちゃーん、』
『夏物のワンピ、買いに行くよーっ!』