第18章 誓いの言葉
~もうもうと煙の立ち上るホルモン屋にて
『遠慮しないで、飲めよ。』
『うぃーっす、乾杯!…
おっちゃん、マジ、久しぶり!
俺、てっきりあかーしからの電話だと思ったから、
声が急におっさんになっててビビった!』
『コータロー、お前相変わらず賑やかだなぁ(笑)』
『俺までお邪魔して、すみません。』
『木葉君、だな。
京治がえらくお世話になって…
こっちこそ挨拶が遅くなり申し訳ない。
京治の父です。』
『ところでおっちゃん…ん?社長?どっちだ?』
『今日は"おっちゃん"だな。
こういう店は久しぶりだ、うん、
たまにはいいなぁ。
二人とも遠慮せんで頼めよ。』
『んじゃ、丸腸と壺漬けカルビと
タン塩とキムチと生3つ、追加!
…で、おっちゃん、俺らになんの用だ?』
『君達、京治と連絡は?』
『ゼンッゼン。』
『小春君は、元気かね?』
『俺らはしばらく会ってないけど…
元気らしいっす。神奈川にいますよ。』
『…独身?』
『今んとこ。』
『彼らも連絡とってないのか?』
『あかーしと小春ちゃん?
あいつら結局、お互いの連絡先、知らないまんま
離れたって。信じらんねー!』
『バカみたいに律儀だな(笑)』
『二人してMですよ、M。我慢強いにも程がある。』
『…実は二週間後の土曜、京治が帰国する。
牛島組からの連絡だから、間違いない。』
『マジ?…おっちゃん、あかーし、まだ独身?』
『少なくとも私のところには
結婚したとか孫が生まれたとかいう報告は
届いてないな。』
『牛島組の娘とは?』
『今の段階では、そういう話も聞かないが。』
『ふーん…で?おっちゃん、頼みってなんだ?』
『君らが京治を空港に迎えに行ってくれないか?』
『え?俺らでいいの?』
『牛島組には、京治の迎えは
うちの社の人間に行かせると言ってある。
そこそこサラリーマン風の服装で行けよ。
コータローは…有名人だからマズイか?』
『お前、ちっと離れたところに
いればいいよな。飛び出してくんなよ?』
『だな。…で、実はもうひとつ、頼みがある。
もし…というか、私は間違いないと思ってるが、
京治と小春君がうまくいくようなら、
これを、京治に渡してほしい。』
『これ、なんだ?現金?』
『バカ、金の心配はいらねーだろ…え?これ?!』