第18章 誓いの言葉
『結婚相手に、
安定とドキドキ、どっち求めます?』
…実は、京治さんがいない間につきあった人から
プロポーズみたいなことを言われたことがある。
ものすごく悩んで悩んで、
エリさんたちに相談した。
…二人は、知っている。
今でも京治さんは、
私にとって別格の人であることを。
でも、
京治さんとの未来があるかないか
それは、全くわからない。
もしかしたら、もう京治さんは、
向こうで大切な人を見つけているかも。
今の彼のプロポーズは、
目の前の現実…安定。
京治さんとの未来は、
不確定だけど諦めきれない…賭け。
困った末に相談した私の質問。
二人も、頭を悩ませてくれた。
『光太郎は、プロポーズ自体が
"ドキドキしながら生きていこーぜ!"だったから。
お陰で私は今でも退屈してない。』
『だろーね(笑)
あたしは秋紀と結婚したいなー。
秋紀はああ見えて、実は安定タイプなのかも。』
『なんか、聞いたことない?
"結婚は、一番好きな人とじゃなくて
二番目に好きな人とした方が幸せになれる"
…とかっていう話。』
『あるある!
結婚すると現実の積み重ねで
好きばっかりじゃやってけないから、
憧れは憧れのままでとっておこう、的な。』
『でもさ、それって、
一番好きな人に失礼だよね?
二番目に好きな人…って段階で既に浮気じゃん?
…あ、小春ちゃんとこは別よ?
赤葦君、いないんだから。』
どの話も、納得いく。
『…正解はない、ってこと?』
『そうそう。
誰と結婚しても、
その人としか作れない未来があるからね。』
…答えがないって、難しい…
『でもさ、』
木兎さんの奥さんは言った。
『迷うくらいなら、
結婚しない方がいいんじゃない?
この先何十年だよ。
"こっちじゃない道を行ってたら
どうなってたのかな?"とか
選ばなかった道を考えながら生きてくなんて、
私だったら、ヤだなぁ。』
…"迷わず決められる人"
それなら、納得いく。
悩む段階で、その人は、違うんだろう。
…結局、彼とは、別れた。
後悔は、ない。
『運命の人』ではなかった、ということ。
つきあってみなければ、
それはわからないから。
…やっぱり京治さんは、特別。
ズルいね、
あんなカッコいいまま、
消えちゃうなんて。
…もう、三年、過ぎるよ。