第18章 誓いの言葉
当たり前だけど、
京治さんの近況は
一切、知らない。
社長との約束通り、
全く連絡はとっていない
…というか、私たちは結局、
お互いの連絡先を教えないまま
つきあって、そして、離れた。
木葉さんや木兎さんのところにも
連絡はないそうで、
最初の頃は、半年、1年と
カレンダーに印をつけてたけど、
でも、1年半、2年とたつうちに
だんだん、京治さんのいないことが
普通になり、
その間に、
何人かの男の人とのおつきあいや
一夜の関係もあり…
とにかく、
立ち止まらないように生きている。
いろんな人と出会って、
誰が本当の運命の人か、知る。
そうやって、
京治さんと約束したから。
…他の男の人を知れば知るほど
京治さんがどれだけ特別な人だったか
思い知る。
あまりに特別すぎて、
あんな人と比べたら
誰だってかなわない、
ということもわかってきた。
京治さんは、
やっぱり、王子様だった。
いい年して何言ってんだ、って
感じかもしれないけど、
突然現れて、
助けてくれて、
恋をして、
反対されて
味方もできて、
そして
迎えに来るとは言わず、
運命ならまた会える、と言って
消えていった、
特別な
"王子様"。
そう思えば、
どこかで折り合いをつけながら
生きていかなくては、というのも
わかる。
でも、
朝焼けを見る時だけは、
胸が苦しくなった。
別れ際の、キスを思い出す。
京治さんの前で流せなかった涙が
朝焼けを見ると、流れる。
…そうやって、
時間は過ぎていった。
今、私の回りで
京治さんと繋がりがあるのは、
木兎さんの奥さんと
エリさんだけ。
彼女たちだけは、
変わることなく友達でいる。
京治さんが私に残してくれた
最高のプレゼントだ。