第18章 誓いの言葉
京治さんは、旅立っていった。
いろんなことがあったけど…
寂しさはもちろんあるけど…
でも、何一つ、後悔はしていない。
出会えたことも、
離れたことも。
そして、それからは
京治さんがいない"日常"が始まった。
不思議だ。
あんなに京治さんのことばかり
考えていたはずなのに、
京治さんがいない生活なんて
考えられないと思っていたのに、
私は毎日、
京治さんがいなくても、生きている。
それは、京治さんも同じだろう。
どんなに
『かけがえのない人』だと思っていても、
いなければいないで生きていけるのだ。
水や、空気や、食糧とは違う。
生きるだけなら、生きていける。
でも、
…彩りが、足りない。
恋がない世界には
色が、輝きが、足りない。
それが、
京治さんがいなくなってわかったこと。
あれから、
木兎さんの奥さんやエリさん達とは
普通の友達…私は親友だと思ってる…
として1ヶ月か2ヶ月に一回くらいは
集まって、女子会をしている。
…待たない、
本当に大切な人を探す、という
京治さんとの約束があるから、
私はあれから、
告白されてつきあったりもしたし、
彼氏がいない間に、合コンや飲み会で
仲良くなった人と、
…勢いで、寝たこともある。
エリさん達には、
そんな話も包み隠さずできた。
彼氏が出来れば応援してくれたし
別れれば慰めてくれたし、
勢いで寝てしまった後悔は
自分達の経験談(もちろん木兎さんや
木葉さんじゃない男性経験)をネタに
一緒にもりあがってくれて、
本当に、大事な友人になった、
…木兎さんや木葉さんとは、あんまり会ってない。
やっぱりあの二人は、
私が京治さん以外の男の人と
親しくするのはイヤみたいだし、
『6人』ではなく『5人』で会うと
どうしても私が一人、余ってしまうから。
それでも、たまには
みんなで横浜や鎌倉で遊んだりする。
鎌倉の海で木兎さんが
大学生をナンパした時なんて
木兎さんよりエリさんの方が
彼女たちと仲良くなり、
そしたら
『俺より、女のほうがいいのっ?!』
と木兎さんがすっかりショゲちゃって…
木葉さんは、
そんな木兎さんのお世話に
一人で日々、奮闘しながら(笑)
でも、つまり、
私たちは、毎日、生きている。
京治さんがいなくても。