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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第18章 誓いの言葉



『ガーッッッ!
なんでこんなに広いんだ?!』

『…なんていう天丼屋だよ?』

『値段は、覚えてる。2832円。』

『そもそも、天ぷら屋?寿司屋?和食処?』

『壁の色は、白だった。』

『せめて、どのターミナル?何階?』

『飛行機は、見えない場所だった。』

バカか?
バカなの?
バカでしょ?

…私以外の3人が同時に言うから
思わず、笑ってしまう。

空港まで来たけれど、
木兎さんの行きたい"天丼の店"が
ちっとも見つからないのだ。

…私は、天丼よりも
行き交う人の方が気になっている。

京治さん、今日はどんな服装なんだろ。
飛行機に座りっぱなしだから、
きっとスーツじゃないはず。

見送る、というほどのつもりはない。
ただ、ここまでくれば、
一目、ちらりとでも見られれば。
そう思う。

時計をみる。
一時半。
もう、間違いなく、
この空港のどこかにいる。

あちこちに、人の列。
行き交う人の数はあまりに多くて。
もしかしたら、もう
搭乗ゲートに入ってるかもしれないし。

それでも、
細くて背が高くて黒髪の、
20代っぽい男の人を見れば
つい、目でおいかけてしまう。

違う。
もう少し、痩せてる。

違う。
こんな服は、着ない。

違う。
メガネは、かけてない。

違う。
もっと、優しい顔をしてる。

違う。
もっと、指が長い。

違う。
もっと、身のこなしがスマート。

違う。
違う。
違う。

似てる人はたくさんいるのに、

京治さんは、いない。

違う。
違う。

違……?!

思わず、
足が止まる。

世界も、止まる。

『どした?小春ちゃん?』

『…あ…れ…』

少し遠いけど、間違いない。
男性数人のグループの中で
頭ひとつ背が高い、あの人。

Aで始まるイギリスのブランドの
あのシャツ、
すごく着心地がいいって
同じ色を三枚揃えるくらいの
お気に入りだった。

手に持ってるビジネスバッグ、
あの紺色に茶色のエッジ。
個性的なデザインなのに
すごく品がよくて、
京治さんに似合うな、って
前から思ってた。
持つのはいつも左手。


間違いない。

間違いない。


『…っ、』


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