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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第18章 誓いの言葉



返事が出来ない代わりに
同じ事を返す。

膝の上から私を見上げて
気持ち良さそうに目を細める顔に。

『京治さんも…
また眠れなくなったら、
膝枕してくれる人を探してね。
…出来れば私の知らない人だといいな。』

私の言葉をきいて
返事をせず、目を瞑る京治さん。
…きっと、私と同じ気持ち。

『小春、』

目を開く。

『俺、ヒドイね。
今、言われて気付いた。
待つな、って、そういうことか…
言われると、寂しいな。
ほんと、ヒッドイ彼氏だ。
…てか、彼氏らしいこと、
何もしてやったことないけどさ…』

京治さんが私の首に、両手を伸ばす。

『俺より小春を幸せにできる男、
世の中に、たくさん、いるよ、多分。
フラれるのは、俺だな。』

…なんだか、おかしい。
京治さん、全然、わかってないね。

あなたがどれだけ
女心を揺らすか。

特別なことをしてくれなくても、
そばにいて、名前を呼んで、
手を繋いで、抱き締めて、
甘えてくれるだけで、
どれだけ幸せな気分になれるか。

あなたの『特別』でいられることが
どれだけ、誇らしいことか。

『ね、京治さん、』

私から言うのは、
初めて、かな?

『抱いて。』

…静かに、抱かれた。

全身に散った花びらも
やわらかく包まれた乳房も
大きく開いた花芯も
口を塞いだ塊も
その塊で塞がれた私の蜜壷も

どれも、静かに愛された。

残りわずかな時間。
一秒ごとに、
意識がはっきりしてくる。

忘れたくないから。

生きていくなかで、
毎日、少しずつ
記憶が薄れていくのなら、

私が
最後まで覚えていたいのは
この時間だろう。

愛しさ。
切なさ。
寂しさ。
大切さ。
その、全部。

幸せでも
不幸せでもなく、

ただ、
大好き。

別れも再会も
どうでもいい。

"今"の時間を
1秒でも長く。

そう思いながら、
抱き締めあった。

不思議と、
涙は、出なかった。



…そんな時間も、

もうすぐ、終わる。



長い魔法が

解けるとき。


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