第18章 誓いの言葉
木兎さんが一回潰れて、
ちょっと静かになって、
女3人と木葉さんで
テレビ見て笑って、
日付がかわって少したった頃、
"ヂリリリリッ"
呼び鈴が鳴る。
起きてた四人が目を合わせ、
木葉さんが、鍵を開けにいく。
私は思わず
エリさんの手を握りしめた。
『…どうしよう、どうしよう…』
『小春ちゃん、
いっぱい、甘えたらいいよ。』
『…そんなことしたら、
離れられなくなっちゃう…』
木兎さんの奥さんが言う。
『それでも、甘えたほうがいい。
後悔、残しちゃいけないって。
…明日が来たら、
必ず、いなくなるんだから。』
明日が来たら、
必ず、いなくなる。
わかっているけど
言葉にすると
とてつもなくこわい。
どうしよう、
どうしよう、
京治さんに
会いたいのに
会ったら
さよならを
言わなくちゃ
いけなくなる。
どうしよう、
どうしよう、
さよならなんて
うまく言えるわけ
ないのに、
どうしよう、
どうしよう、
京治さんが来る。
…ガチャ。
『おっせーぞ、あかーしっっっ!』
私の緊張は、
目覚めたばかりの木兎さんに
ぶっ壊された。
『今の今まで寝てた顔して
何が"おせーぞ"ですか。
それは起きてた人のセリフです。』
…あ、
京治さんが、
木兎さんに突っ込んでる。
目の前の
いつもの風景が嬉しくて、
思わず笑ってしまった。
『遅くなってすんません、
…久しぶり、小春。
元気?みたいだね。』
京治さん…
『ね、もう一回、乾杯しようよ!』
すかさず声をかけてくれた
エリさんにあわせて
もう一度グラスを手にする。
『おい、ひとり一言づつ、
何に乾杯したいか、言おうぜ。
じゃ、木葉から順番に。』
『え?じゃ、当たり前だけど
あかーしの出発に。』
『赤葦君の無事を祈って。』
『小春ちゃんの再出発も。』
私の番。
『京治さんが元気で、
いい仕事が出来るように。』
なぜか、主役も。
『みんなへの、感謝を込めて。』
最後は、言い出しっぺのこの人。
『よ〜し、じゃ、
ヨントリーが、今季、優勝出来るように祈って
かんぱ〜い!!』
えーっ?
ここ、もってくー?
木兎、サイテー!
ぶーぶー。大笑い…