第18章 誓いの言葉
『どうだ。気持ちは落ち着いたか?
…ん?助っ人、連れてきたのか。』
社長が、私の存在に気付く。
『二人で愛の逃避行宣言でもするつもりか?』
『…いえ。小春が、
社長に話があるというので。』
『…聴こう。座りなさい。』
前と同じ、ふかふかのソファ。
そんなに前のことじゃないのに、
いろんなことが、変わった。
『あの、最初に、この度の件、
…牛島組との縁談破局では、私も
申し訳ありませんでした。
京治さんという人の存在の大きさを
知らなすぎました。』
『…でも、別れないんだろう?』
緊張している私にかわって
京治さんが話を続けてくれた。
『社長、そのことですが、
週末、じっくり、話し合いました。』
『で?』
『結論から言います。
別れる、というわけではないですが、
二人の関係を、一旦、白紙にします。
離れてる間に新しい出会いがあれば、
そっちを優先します、お互いに。』
『ほう。』
『連絡も、一切、取りません。』
『それは、別れるのとは違うのか?』
『違います。
誰が本物のパートナーなのか、
見極めるための時間と距離です。』
『おもしろいな。では、もしかしたら
片方が思い続けてても、
片方が新しい相手とつきあってることもある、
ということか。』
『はい、大いに。もしそうなったとしたら、
俺たちは本物のパートナーではなかった、
ということです。』
『その時は、
お前は牛島の娘と結婚してもいい、と。』
『約束します。会社に尽くします。』
『…そうか。なかなか思いきったな。
しかし、もしかしたら、
お前達が何年後かに再会した時に
まだ想いあっている、という可能性も
なくはないのか。』
『もちろんです。』
『ふむ…それは社長としては
望ましくない事態ではあるが…
一応、聞いておこう。
そのときは、どうするつもりだ?』
『そのときは…』
京治さんは
社長の目を見て、
ハッキリと言った。