第18章 誓いの言葉
私が、答えないと。
誰も間違ってないからこそ、
私が、答えを出さないと。
『…わかりました。
もしそんな人が現れたら、そうします。
でも、逆も約束してください。
もし、京治さんに気になる人が現れたら、
…たとえそれが牛島組の娘さんでも…
私に遠慮はしないで、その人を選んで下さい。』
『…お前ら、バカか…』
木兎さんが、絞り出すような声で言い、
『木兎、黙っとけ…』
と、木葉さんが、木兎さんを諌める。
…京治さん。木兎さん。木葉さん。
3人それぞれの、優しさ。
『…小春…
ちっとも幸せにしてやれなくて、
ホントに、ごめん。』
『…京治さん、一つだけ、お願いがあるんです。』
『…何?』
『あのね、ごめん、って言わないで。』
『でも、謝ることばっかりだし…』
『好きになったのは、私も一緒。
京治さんを苦しめてる源は、私。
でも、私、
出会えたこと、後悔したくない。
だからお互い、
ごめんって言うの、やめにしませんか?』
だれもが沈黙する中、
口を開いたのは…
『赤葦君、もしごめんって言いたくなったら、』
…この時、エリさんが教えてくれた
美しい言葉の響きを、
私は、今でも忘れられない。
『…ごめん、って言いたくなったらね、
"愛してる"か"ありがとう"って言うといいよ。』
『…全然、違う意味ですよね?』
『ううん、一緒。
ごめんの向こう側には
“愛してる"か"ありがとう"が隠れてる。
わかりあえてる二人なら、
それでちゃんと通じるから。
小春ちゃんだってさ、
どうしようもないこと謝られるより、
その方がよくない?』
ごめん、と100回言われるより、
愛してる、って1回言われる方が、
ずっとずっと、幸せ。
『その言葉なら、何回でも欲しいです。』
『…じゃ、俺からも、一つだけ、いい?』
『何ですか?』
『俺に丁寧語使うの、やめて。
あと、京治って呼んでほしい。』
『あ、あかーし、ずりーぞ!
一つだけって言ったのに、今、
二つお願いした!』
木兎さんが、細かいところに突っ込む。
『じゃ、私、丁寧語、やめます。』
『(笑)ほら、やめてねーし。』
『丁寧語、やめる。…でいいですか?』
『おかしいだろ(笑)』
なんとなく、みんな、ホッとする。
…木兎さんが、声をはりあげた。