第18章 誓いの言葉
夜。
昨日と同じ顔ぶれが集まった。
『連日、すみません。
…俺の口からちゃんと報告したくて。』
京治さんの雰囲気が明るくないことは
きっとみんな、感じてる。
もともと、どちらかといえば静かな人だけど。
『社長と二人で、牛島組、行って来ました。
縁談を断った件の謝罪と
俺は会社を辞めるから、途上国援助の件は
計画通り共同でうまくやれるように、って。』
『で?どーだったんだよ?
難しい話はいいからさ、結論、聞かせろって。』
『事業は、計画通り進みます。』
『よかったじゃん!』
『でも、いくつか条件があって。』
『条件?』
『一つは、小春をうちの会社辞めさせて
東京以外の場所で働かせること。』
『は?なんだよ、それ。』
『縁談を断った理由が、
俺に女が出来たからってことが
どっかから知られたみたいで。
許せないんでしょうね。』
『そんなん、あかーしの自由じゃん!』
…と、今にも暴れだしそうな木兎さん。
『いや、向こうは違うだろ。』
…と、冷静なのは、木葉さん。
『父親としてさ、
自分の娘の結婚相手になるはずの男が
急に"他に好きな女が出来たから、
やっぱこの結婚、やめます。"って言ってきたら
普通、怒るって。
ましてや相手が赤葦建設の息子だぞ。
これ以上の相手、なかなかいねーもん。
腹立てるのも、わからなくはない。
もちろん、俺はあかーしの味方だけど。』
『…その通りだって俺もわかってます。』
『…私も、どのみち、もう
赤葦建設にはいられないと思ってました。』
『でも、東京以外って…』
『小春ちゃん、実家、どこ?』
『四国です。』
『…帰りたい?』
『私は…みんなの…京治さんのそばにいたい!』
…京治さんの顔が、一瞬、曇る。
『…仕事と住む場所は、よければ
会社がちゃんと世話するから。
小春、ほんとに、ごめん。』
…今日も京治さん、
"ごめん"ばっかり言ってる…
『とにかくまず
腹いせに彼女を遠ざける、ってか。
牛島組、でっけー会社なのに、
やることが小せぇなぁ。』
『…実はもうひとつ、条件があって…』
『もうひとつ?』
『まだあんのか。
どーせちまちましてんだろ。』
『いや、どちらかというと俺的には、
気が遠くなる話、というか。』
『なんか、やな感じだなぁ。なんだよ。』