第5章 ヴァージンロード~月の道~
春。
『ちらし寿司がいっぱい出来ちゃった!』
夏。
『スイカ、冷蔵庫に入らないから
一緒に食べて~。』
秋。
『栗ご飯炊いたから、食べよう!』
…食べ物をはさんで、
蛍と過ごす時間が増えていく。
冬。
『お鍋は、一人じゃ寂しいじゃん。』
そう言って、
蛍の家で鍋をしていた時のこと。
『兄ちゃんとは、何で別れたの?』
『え~っ、昔話だなぁ。
はっきりした理由はなかったと思うよ。
大学生と高校生じゃ、
なかなかうまくいかないよね。
自然消滅、って感じかな?』
『ふーん…で、
兄ちゃんとは、どこまでしたの?』
え?
『…どこまで、って?』
『キスまで?それより先も?
セックスとか、してたの?』
突然の質問。
『…質問してるんだから、答えてよ。
どこまで、したの?』
『…キ、キスまで…』
『じゃ、俺とも、キスまではいいよね。』
ガタン、と椅子から立ち上がった蛍は、
私の手を引っ張って、壁際に追い詰めた。
…あ、これ、壁ドンあごクイってやつ…
そんなことを考えた一瞬に
蛍の舌が私の口の中に侵入してくる。
いきなり、ディープ…
舌をからませ、
歯列の裏側まで、舐めるように。
顔の角度を変えて、もう一度。
…蛍、どこでこんなキス、覚えたの?…