第18章 誓いの言葉
『コータロー君が言ってたけどね、』
窒息しそうな胸の谷間から
ポヨン、と離される。
…はぁ、はぁ…
なんか、ちょっと興奮してるわ、私。
エリさんに惚れちゃいそう…
『彼ら、長い付き合いじゃん?
でも、赤葦君が自分から
彼女紹介してくれたのも、
頼ってくれたのも、
小春ちゃんが初めてなんだって。
あの3人、ちょっと家族…ってか
兄弟みたいでしょ。
だから、コータロー君も秋紀も
嬉しくてたまんないみたい。』
『いっつも、お世話になりっぱなしで…』
『むしろ、コータロー君も秋紀も、
お世話したくてたまんない感じね(笑)』
…そうやって言うエリさんも
とっても楽しそうで…
『ね、小春ちゃん、』
エリさんが、
お姉ちゃんみたいな優しい顔で言う。
『赤葦君と付き合うって、大変だよね。
赤葦君自身もそれはわかっててさ、
だからこそ、相当、一緒にいたい人しか
彼女にしないんだって思う。
恵まれてる人の孤独って
他人からみたら贅沢な悩みだろうけど、
心をゆるせる人とか、
見た目や肩書き以外の自分を
愛してくれる人に出会うって、
きっと、
私達一般人には想像できないくらい
難しいことでさ、
で、赤葦君は、
出会っちゃったんだよね、小春ちゃんに。』
…そう、だと、思いたい。
『小春ちゃんからしたら
周りは敵ばっかりかもしれないけど、
少なくともあたし達は、全力で応援するから!』
…そうだ。
強力な、優しくて心強い、信じられる味方。
ちょっと泣きそうになった私の顔に、
エリさんが、パシャッとお湯をかけた。
『あー、熱くなった!のぼせちゃう!
小春ちゃん、水風呂いこ、水風呂!』
顔を拭う。
…泣いてないよ。お湯を拭いただけ。
木葉さんのことをちゃんと理解して
木葉さんの大事なものを共有してる
エリさんのことを、
心から格好いいと思った。
木兎さんを自由にさせてあげながら、
ちゃんと手綱を握っている奧さんのことも。
…私も、もっとしっかりしなきゃ。
京治さんに、余計な心配させないように。
仕事のことも、
家族のことも、
自分ことも、
いつか、ちゃんと話してもらえるように。
京治さんの愛に、
ちゃんと応えられる女になりたい。