第18章 誓いの言葉
社長…京治さんのお父さんの言葉。
『君は、京治がやりたい仕事を知っているのかね?』
…そういえば、
京治さんと仕事の話をしたことは
ほとんどなくて。
『あの、京治さんがやりたい仕事って
なんだろう、って思って。』
『…いつも仕事の話は全然しないのに、
急にどうしてそんなこと聞くの?』
『…社長に、言われました。
京治さんのやりたい仕事くらい知っとけって。』
『小春は、知らなくていいよ。』
『…どうして?』
『別に、やりたいってわけでも…』
『あー、あれじゃねーの?
前から、言ってたじゃん。
途上国インフラの整備に
ODAで参加する根回ししてる、って。』
『いや、もうその話、やめましょ。
仕事のこと考えはじめたら気が休まらないです。』
言いたくない?
私じゃ、話がわからないから?
ちょっと、疎外感、というか
取り残された感じ…
結局、仕事の話はうやむやにされ、
そのまま『せっかく休みだから
たまには温泉でも行きたい。』
という京治さんのリクエストで、
木葉さん達と四人、
大きな遊園地の横の
"ザ・ニッポン"っていう感じの
お風呂のテーマパークに行く。
『じゃ、三時間後、集合な!』
首からタオルをぶら下げて
手を振りながら男湯に消えていく二人。
『小春ちゃん、私たちも、行こう。』
エリさんと二人、浴場へ。
脱衣場で、
さっさと全裸になるエリさん。
…エリさん、脱いでも格好いい。
美人で背も高くてグラマーで。
横に並ぶと、自分の身体の全てが
えらく貧相に見える(汗)…
京治さんも、こんな女性を
相手にしてみたい、とかって思うのかな?
性格も、チャキチャキしてて、
姉御肌だけど、気配り上手で。
やんちゃだけど面倒見のいい
木葉さんと、ピッタリ。
京治さんも、こんな女性となら
仕事の話もしたくなったりするのかな?
…うぅ、ダメだ、
私、さっきの、引きずってる。
やりたい仕事のことを話してくれなかったこと。
エリさんにヤキモチやくなんて、
もう、我ながら意味がわかんないよ…
京治さんの足をひっぱってる気がして、
京治さんの役に立ちたくて、
京治さんにふさわしい女になりたくて、
私、今、迷走中…