第18章 誓いの言葉
目隠しされたまま、
羞恥心いっぱいの姿を見られ、
昇りかけたところでのお預け。
…こんな私の姿、
京治さんはどんな目で見てるの?
とりあえず、
ここだけは、
閉じなくちゃ…
少し下腹に力を入れて
脚をもちあげてみたら、
肱置きにかけられた左右の脚は、
なんとか自力で下ろせた。
『…京治さん…お願い、顔がみたい…』
わずかな沈黙の後、
立ち上がった気配。
目隠しも、手の拘束も、解かれる。
縛られ方はゆるかったけど、
不自然な体勢だったからか
関節がギシリと音をたてそうで…
しびれが切れかかった手を
そっと動かす。
『小春、痛かった?』
後ろから、
椅子の背もたれ越しに
そっと抱き締められる。
いたずらをして、
怒られる加減を探っている
子供みたいな、仔犬みたいな、
遠慮がちな声。
このくらい、平気。
好きって、そういうこと。
そう言ってあげたい。
『京治さん、嬉しい。』
『…どうして?』
『京治さんが、心、見せてくれてる。』
『…』
『…他の人にも、あんなことする?
私にだけ、って思っていい…ですよね?』
『小春以外になんて、絶対、しない!
一番大事な人なのに、意地悪してしまうって、
俺、どうかしてるよな…』
後ろから私を抱き締めている両手。
その手のひらが、
ぐっと拳になっている。
…自分を、抑えてる。
その拳をゆっくりと開き、
私の親指をにぎらせた。
確かめるように何度も
私の親指を握る、京治さん。
…小さな、子供のように。
この手を信じていいのか、
確かめるように。
『京治さん、
恋ってそういうものだから…
私、嬉しい、です。』
『…あんな意地悪しても、
俺のこと、嫌いになってない?』
『…大好き。』
『もう一回、言って。』
『大好きです、京治さん。』
『…もう1回、いい?』
後ろから
私を抱き締めている両手に
力がこもる。
その手を握って、
頬を寄せた。
『私は、赤葦京治が、大好き、です。』
『…小春に大変な思い、させてる男だよ?』
『大変なのは、私じゃなくて京治さん。
私は、京治さんが守ってくれてるから。』
『…』
『京治さん、顔が見たい…』
『ちょっとだけ、待って。俺、今…』
うん。
ゆっくり、
心、ほどいてから、ね。