第18章 誓いの言葉
ガチャ…
ドアが開いて入ってきたのは、
『やぁ。』
『…社長?!』
『暗い部屋だなぁ。
ドアは開けたままでいいかい?』
…こんな地の果てに異動させれば
私が京治さんを諦める気になるとでも
思っているのだろうか?
『何のご用ですか?』
『そんな、冷たい顔をするな。
ここも、考えようによっちゃ
悪いところじゃないはずだぞ。』
…皮肉?
どんな考え方すれば
悪いところじゃないっていうの?
『それより、君に聞き忘れてたことがあってね。』
『…何でしょうか?』
『君は、京治のどこが好きなんだ?』
『…そんなこと…どうして…』
大きな声ではないのによく響く、厳しい声。
『質問に、答えなさい。』
…改めて、考えてみる。
私は、京治さんのどこが好き?
ミステリアスでセクシーなところ。
静かだけど、優しいところ。
男前なのに少し子供みたいなところ。
木葉さんや木兎さんたちといる時の
楽しそうなところ。
仕事に真剣なところ。
…だけど、言葉にすると、全部、薄っぺらい。
『たくさんありますけど、一番は、』
今の私が失いたくないものは、京治さんだけ。
だから、遠慮なく、ハッキリ、言う。
『私を必要としてくれている所です。』
眠れない夜。
どこか淋しい時。
仲間と集まる大事な時間。
京治さんは、
そばにいる時はいつも
私の
手や髪や肩や…
どこかに触れていて、
安心した、
寛いだ顔を見せてくれる。
私を必要としてくれている。
『だから、もし、私達が別れるとしたら、
京治さんが私を必要としなくなった時です。
私から別れることは、ありません。』
甘いな、なんて言われても
笑われてもいい、
そう思った。
『なるほど。
京治には君が必要だ、と。そういうことだね?』
…改めて言われると…
私はそう思ってるけど、
京治さんは、どうだろう、って
少し不安には、なる。
でも、少なくとも
『私は、
京治さんのそばにいるって約束しましたから。』
これだけは、
断言できる。