第18章 誓いの言葉
だけど。
社長は、心底、嬉しそうな顔をした。
『木兎?
あぁ、コータローか!活躍してるなぁ。
昔から、キラキラした子だった。
華があるよな。
あれは…バレーは努力もあるだろうけど、
あの華は、生まれ持った才能だ。
バレーを引退したら、
うちの社員にしたいと思うよ。
まぁ、そんなことしたら、京治は、
やりにくいって文句言うだろうけど』
…本当に、今は
"社長"じゃなくて
"お父さん"として話してる。
優しくて、子煩悩な、お父さん。
『コータロー達とも会ったのか。
京治は、君にホントに惚れてるんだな。
自分の大事な仲間を共有したいくらいに。』
…これなら、
このくらい優しくて穏やかお父さんなら、
京治さんのこと、わかってもらえるんじゃ
ないだろうか。
『…あの、社長、京治さんを、
自由にしてあげられませんでしょうか?』
『自由?』
『会社はお兄さまに継いで頂いて、
京治さんを、自由に…』
前屈みでにこやかだった表情が、
一転して、
胸を張ってソファにドシリと座ると
経営者の顔になる。
声も、ワントーン、低くなったような。
『…君は、京治に、才能がないと思うのかい?』
『才能…?』
言葉の響きにも、重さが加わって…
そこからは、
さっきの"父親"らしさは一切、なくなる。
大会社の、社長。
威圧感と威厳に押されて、
言葉がでない。