第18章 誓いの言葉
しばらくはガヤガヤとそんな雑談をした後、
話を切り出したのは、木葉さんだった。
『あかーし、話があんじゃねーの?』
『…はい。俺、今日、父親に…』
それは、さっき、京治さんが言いかけた
言葉の続きだった。
父である赤葦建設の現社長に、
牛島組との縁談をもちかけられたこと。
それを断り、
次期社長の座も長男に任せたいと言ったこと。
…父はそれに納得せず、理由を聞いてきたこと。
『で、お前、なんて答えたんだ?』
『会社のために、
親の決めた相手と結婚する気はない、
俺は俺が惚れた相手と結婚する、って。』
『あかーし、かっちょええっ!
俺が女だったら惚れるっ、俺の次に。』
『木兎さん、分かりにくいうえに
気持ち悪い想像、やめて下さい。』
『…な、あかーし、親父さんに、
小春ちゃんの名前、言ったのか?』
『言ってませんけど…
いつまでも隠し通せるもんじゃないとは
思ってます。』
『もし小春ちゃんの存在がバレたらどうなる?』
『父親だけなら俺が話してなんとかしますけど、
派閥っていう面倒くさいもんが…』
つまり、
会長が推す長男より、
社長が推す京治さんが
会社を継ぐことを望んでいる人達が
大勢いる、ということで、
その人達にとっては
京治さんの相手として不足な私は
…私じゃ、会社の利益に繋がらないから…
邪魔な存在、ということ。
『…人の恋路を邪魔すんなよ、って思うけどさ、
それぞれ、自分だけじゃなくて
家族の生活もかかってるってのもわかるからな…』
…木葉さんにそう言われて、初めて気付く。
私達が愛し合ってるかどうか、
とは別問題で、
京治さんの選択には、
多くの人の人生がかかっている、ということに。
『そうなんです。わかってます。
でも、道は1つしか選べない。だから、』
京治さんが、
引き締まった表情で言葉を繋ぐ。