第18章 誓いの言葉
"木葉さんの隠れ家"のリビング。
洒落た洋館の洒落たテーブルで、
木葉さんと、木兎さんと私の3人、
なぜか出前のお寿司をつまむ。
なんでお寿司かっていうと
『俺が、寿司、食いたい気分なのでっ。』
…という、木兎さん一人のリクエスト。
ご馳走になる立場だから文句はないけど。
『小春ちゃん、あかーし、何か言ってた?』
『…初めてお父様に歯向かった、って…』
『そんで?』
『それだけ言って、グッタリ寝ました…』
『なになに、小春ちゃんって催眠術師?!
俺にもかけて!催眠術っ。』
『…木兎、うるせー…そっか、あかーし、
ついに自分に素直になったのか。』
『…縁談を断った、ってことでしょうか?』
『多分ね。知ってんの?』
『社員食堂で、噂になってたから…』
…木葉さんの話によると、
会長が推す長男は、
すでに"天童組"という
大手ゼネコンの娘と縁談が進んでいて、
それに負けじと、
京治さんを社長にしたい父親は、
天童組に負けないくらいの大手、
"牛島組"との縁談を画策してるらしい。
『あかーし、親父さんのこと尊敬してるから。
親に反抗したこと、ほとんどねーぞ。』
『俺、あかーしの父ちゃん母ちゃん、
好きだったなぁ。俺、小学生の頃、
兄ちゃんが入院してた間、あかーしんちで
相当、世話になったけど仲いい夫婦でさぁ。
あの頃は兄ちゃん達も優しくて。
家庭の事情なんて知らなかったけど、
金持ちって以外、普通の家族だったぞ。』
『…それ、今の社長夫人ですか?
ちょっと若いような気がしますけど…』
『あかーしのホントの母ちゃん、
多分、あかーしが中学の頃に死んだ。
今の母ちゃん、兄弟誰とも血は繋がってねーはず。』
…家族に安らげなかった分、
木葉さんや木兎さんが
ホントのお兄ちゃんみたいに
気にかけてくれてるのが救いなんだね…
膝枕で、髪の毛を撫でられるのが好きな
京治さんの気持ちが、
少しだけわかった気がする。
『でもさ、
あかーしって、兄ちゃんおしのけてまで
社長やりたがるタイプじゃねーと思わね?
父ちゃんも、それ、わかんだろ?』
『多分、あかーしのおふくろさんのこと、
本気で好きだったんじゃねーの?
会社のために結婚した女の子供より、
好きな女が産んだ子に継がせてーだろ。』
…真理だろう。そして、根深い…