第18章 誓いの言葉
夜。
一人の部屋で、あれこれ考えていると
電話がなった。
…木葉さんだ!
『はい、』
『あ、小春ちゃん、起きてた?』
『…まだ8時ですよ?』
『あ、そっか(笑)
あのさ、今から、うち、来ない?』
『…京治さん、いるんですね?!』
『おぅ。すっげー、疲れてるわ。』
『すぐ、すぐに、行きます。』
とるものもとりあえず駆けつけた
"木葉さんの隠れ家"には
初めて会う男の人がいた。
…明るい人。
雰囲気も、オーラも。
大きい人。
体も、声も、リアクションも。
『おぉ、これがあかーしの膝枕か!』
『おい、ぼくと、後輩の彼女に向かって
いきなり“膝枕”って、失礼すぎだから(笑)
小春ちゃん、うるさくてごめんね、
これ、木兎。あかーしの…』
『あかーしの、先輩でーす。よろしくっ』
いきなり抱きついてくる…けど
不思議とイヤな感じじゃない。
特別な…
何か、選ばれた人の雰囲気を持ってる。
…木葉さんの言葉が、思考を遮った。
『小春ちゃん、こいつの相手しなくていいから
あかーし、寝かせてやって。
恐ろしいくらい疲れた顔してるのに
眠れないって。あの部屋、いるから。』
わずかな距離なのに、
1秒でも早く会いたくて、
階段も廊下も、走ってしまう。
ドアの前。
立ち止まる。
どんな顔、してるの?
私で、役にたてるの?
大きく息を吸い、
思いきって、ノックした。
『…京治さん…』
『…小春?』
『はい、小春です。』
ガタッと、ドアが開く。
逆光で、顔色までは見えないけど、
京治さんだ。
グッと手を握られて、部屋の中へ。
ドアが閉まる音と同時に、
その場で抱き締められる。
強く、強く。
『小春…俺、初めて父親に歯向かった…』
簡単に、答えられることではなくて…
『そうなの…』
それだけが、やっと。
『小春、俺…俺さ、』
京治さんの体の力が
グッと私にかかる。
ほぼ、全体重に近いくらいの重さ。
…え?
眠った?
予想以上の重さに
思わずそのまま私も、
後ろのベッドに倒れ込み、
…一人ではどうしようもなくて、
とりあえず
木葉さんと木兎さんを呼んで、
なんとかベッドに京治さんを寝かせた。
…京治さんは、
気を失ったように、
起きなかった。