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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第18章 誓いの言葉



…目が覚める。
京治さんは…いない。
カーテンを開けると
すっかり白く眩しい光。

どこまでが現実で
どこからが夢だったのか、よくわからない。

枕元に、走り書き。

"おはよう。
受話器あげたら
木葉さんにつながるから。
また。京治"

"受話器をあげる"って
久々に聞く言葉だなぁ、と思いながら

オモチャみたいな
おしゃれな電話の受話器をあげると、
間もなく、木葉さんの声がした。

『おはよ、小春ちゃん。腹、減ってね?』

『言われてみれば、おなか空きました。』

『だよねー。
でもここはホテルじゃねーから
朝飯のサービスはないんだ。
しかももう、昼に近いしね。』

え?もうお昼?
…私、何時間、寝てたんだろ…

『てなわけでさ、
俺と、昼飯食いに行こうぜーっ。』

笑える。
京治さんといた時は
お伽噺の舞台に見えたこの空間が、

木葉さんの姿をあわせると、
すっごく普通の、古い建物に見えちゃう。

『あかーしから、
二人分の昼飯代、もらってっから。』

そういう木葉さんに甘えて、
昼食に行くことにした。
…歩いてすぐのラーメン屋。
うん、やっぱりこれが現実だ。

木葉さんと並んでラーメンをすすり、
コンビニでアイスコーヒーを買って
飲みながら帰るまでに、
木葉さんは、いろんなことを話してくれた。

京治さんの高校時代のこと。
今、本人の意図しないところで
後継者争いに巻き込まれてること。
独り暮らししてる部屋では
お手伝いさんが家事をしてくれるけど、
その分、一人になれなくて、
時々、木葉さんのあの部屋に来ること。

…そもそも、あの部屋、というか建物は
木葉さんのおばあさまの持ち物で、
今は東京にいらっしゃらないから
かわりに木葉さんが住んでること。

…京治さんの関係者は、
あの部屋のことを知らないから、
本当に一人になりたい時に来る、らしい。

『だからさ、あそこに誰か呼んだの、
小春ちゃんが初めて。
…あいつ、一人になるより、
小春ちゃんといたかったんだよ、珍しーわ。
しかも、朝まで一緒にいて手を出さねーなんて。
膝枕?今さら、純愛かって。』

『…それは木葉さんが、ラブホがわりに
使うな、って言ったからじゃないですか?』

『あのさ、男はね、いざとなったら
そんな約束なんか、吹っ飛ぶもんよ?』

…そう、ですか?

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