第18章 誓いの言葉
余程、疲れていたのだろうか。
あっという間に寝息をたてはじめた
"京治"さん。
…私の膝枕で。
どうしてこうなっているのか
事態がよく掴めないままなんだけど…
あまりに無防備で
気持ちよさそうなその寝顔。
美しすぎて、
少しも不快感や不安な気持ちにはならない。
むしろ、
いつまでも見ていたい、というか…
…少しだけ、いいよね?
髪を、撫でる。
いつも無表情な彼の中で唯一、
やわらかな印象の、くせっ毛。
あぁ…
ふんわりしてるんだ…
寝顔もくせっ毛も、
天使のようだ、と思う。
突然現れて、
私を助けてくれて、
いきなり、膝枕で寝顔。
こんなことって、
あるのだろうか。
住む世界が違う人だと知らなければ、
多分、私は、好きになっていただろう。
シンデレラのように、
つかの間、夢を見させてもらう。
一時間後には、覚める夢。
そう自分に言い聞かせなければ
あとで悲しい思いをするのは、私。
そう思いながら、
やわらかな髪の毛を
何度も何度も、撫でた。
何か楽しい夢でも見ているのだろうか、
時々、寝顔がフッと緩む。
寝顔なのに、優しい。
起きている間は、
きっとたくさんのことを背負って
戦っているのだろう。
あの三つ揃いのスーツは
働く彼を守る、戦闘服。
普段は、どんな服を着るのかな?
仕事以外の時間は何をしてるんだろう?
…どんな女性がそばにいるのかしら?
今まで見た彼の表情の中で
一番優しくて暖かい寝顔を見ながら
ずっと、そんなことを考えていた。
…飽きることは、なかった。