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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第18章 誓いの言葉



『…私、ですか?』

彼は否定も肯定もせず、
いつもの、あの温度を感じない表情で言う。

『受付閉めたら
ゲストのケータリングにつけってさ。』

聞いてない仕事だけど、
ここから逃れられるならありがたい。

『は、はい、どこに行けば?』

『こっち。
…兄さん、悪いけどそういうわけで、
ナンパはよそでお願いします。』

兄さん?
ということは、
やっぱりこの二人は、三兄弟のうちの二人。

『失礼します…』

"兄さん"を残してズンズン前を行く彼に
私も小走りでついていく。

会話は、何もない。
エレベーターで、上へ、上へ。
…パーティー会場が遠ざかる。

"チンッ"

小さくて上品な音がして
エレベーターのドアが開く。

黙って進んでいく彼に
ついていくしかない。

カードキーで開いたドア。
…暗い部屋。
カーテンの向こうに夜景が見える。

ドアを押さえてる、彼。
…部屋に入れってこと?

『早くしないと、誰かに見られるよ?』

意味がわからない。
けど、
誰かに見られるのもまずい気がする。
進むしかない。

私に続いて彼も部屋に入ってきて…

部屋の明かりがついた。

広い部屋…の真ん中に、ダブルベッド?!

…これは、まずいんじゃない?
ギュッと体を強ばらせる私をよそに、

"彼"は
タキシードのジャケットを脱いで
ベッドに放り投げた。

チラリと見えたブランドタグは、ラクロワ。
何十万、するんだろ?
…反射的にそれを拾って、
ハンガーにかける、私。

タイを緩めながら、"彼"は言った。

『…俺、京治。あんたは?』

『…小春です。』

ふーん…とうなずいた彼は
大きなソファにズドンと腰をおろした。

『…あの、私、ケータリング、どうしたら…』

『また兄さんに声かけられたくなかったら
しばらく、ここにいたほうがいい。
…一時間たったら、俺を
起こしてくれるとありがたいんだけど。』

もしかして、助けてくれた?

『ありがとうございます。』

『感謝してくれてるんだったらさ、』

彼は、自分が座ったソファのはしっこを
ポンポンと叩いた。

『…ここ、座ってくんない?』

感謝…してる。
だから言われた通り、ソファに座る。

『ちょっと、かして。』

…そう言った彼は、
私の膝、というよりももの上に頭を置いて
すぐに寝息をたて始めた…



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