第17章 ジューンブライド ~クリスタルウェディング~
翌年の春。
一鉄さんは、『烏野高校』に赴任し、
ここでバレー部の顧問になった。
たくさんの出会いを重ねながら、
教師として、指導者としての経験を積む。
まもなく私たちも
二人の子供に恵まれ、
心配していた"母としての自分"も
一鉄さんの愛情の深さや
周囲の人たちの支えで
"鬼"になることなく
子育てさせてもらい、
そして、
一鉄さんの教え子たちからも
少しづつ結婚の報告が来はじめて、
その披露宴では、一鉄さんも
あいさつを頼まれることが多くなってきた。
気付けば私たちも40過ぎ。
あの頃、私が恐れていた
"ジューンブライドの呪い(笑)"も
全く心配することなく、
今も幸せな毎日を過ごせているのは
全て、最高の夫、一鉄さんのおかげだな…
そう思っていたある日。
一鉄さんから声をかけられた。
『ねぇアキさん、今年のお誕生日は、
久々に二人で食事に行きませんか?』