第17章 ジューンブライド ～クリスタルウェディング～

…そして、６月。

ビーチパークでデートした時の
あのレストランで、
私達の結婚報告会をした。

なかなか気乗りしない私を
なだめるように
準備してくれた一鉄さんに、

今となっては本当に感謝している。


レストランでも動きやすいように。
そして"水の季節に似合うから"と
選んでくれたのは、
マーメイドラインのウェディングドレス。


手元には、
ピンクのあじさいのブーケ。


…どちらも、
一鉄さんが率先して打ち合わせに行き、
決めてくれた。


以前、一鉄さんに聞かれたことがある。

『どうして、あじさいが好きなんですか？』

『ちょっとづつ色の違う小さな花が集まって
丸くなってるでしょ？
それがなんだか、いい家族みたいだな、って。』

私が憧れる"まぁるい家族"の形は
あじさいそのもの。

一鉄さんが
あじさいのブーケを提案してくれた時、

『花言葉が"移り気"じゃなかったっけ？』

と、噛みつきそうな勢いで言った私に

一鉄さんは"ほら来た"とばかりに、
にっこり笑って答えてくれた。

『あじさいは、色によって花言葉が
違うんだそうですよ。アキさんには
ピンクの花言葉が似合うと思って。』

…ピンク色のあじさいの花言葉は…

"元気な女性"

『ずっと、僕のとなりで、
"元気な女性"で いてくださいね。』

…そんなことをサラリと言われると、涙が出る。


私、この人と結婚できて、幸せ。


…雨の季節に出会った私たちの
結婚報告会当日はやっばり雨降りで、

それもまた、
『私達らしいよね』と
大切な思い出になった。