第17章 ジューンブライド ~クリスタルウェディング~
『…早瀬さんは、僕のこと、嫌いになりましたか?』
『え?いいえ、むしろ、大好きになりました…』
『僕もですよ。それも含めて、相性でしょ?
相手とセックスの好みがあうって
素晴らしいことだと思いませんか?』
確かにそう思う。
今まで、あんなにセックスを
満喫したことはなかった。
自分を"肉食"だと思っていたのは
足りなかった、からだ。
もっと、ほしかったのに、
相手に遠慮して、心が飢えてたから。
『…武田さんも、ああいうの、好きですか?』
『…僕は、どっちかっていうと、
相手が好むようにするのが好き、っていうか。
彼女が乱れて、イクのを見られれば、
自分は割とどうでもいいんです。
こういうの、草食系、っていうんですかね?』
…いや、あなたは全然、草食系ではない、です…
『でも、スゴかった…』
『僕も、あんなに楽しんだのは初めてですねぇ。
今まで経験なかっただけで、
本当は、僕も、ああいうセックス、
好きなんだと思います。
早瀬さんといると、もっと
新しい自分が見つかるかもしれない。』
『…才能、ありそうですね(笑)』
『僕、基本、受け入れタイプなので。』
『言葉攻め、センスありすぎです。』
『国語の先生でよかった(笑)』
『職業、関係ない、でしょ(笑)』
『いや、夕べはホントに興奮しました。
また、いろいろ教えて下さい。
プレイも、早瀬さんのことも。』
『…そんな(//∇//)…』
ホットケーキを食べながら、
まるで
夕べ見たテレビの感想でも話すように
ごく普通に、Hの話を、真面目にする。
ほんとに、普通に。
『なんですか、マジマジと。』
『私、今まで、こんなこと、
堂々と話し合ったことないな、と思って。
彼氏とはもちろん、女性とも。』
『まぁ、誰とでもする話じゃないですけど、』
はい、と、
私に一口、ホットケーキが差し出される。
ハチミツとバターに、ホイップも
たっぷりついてて。
パクリ。
自然と、かぶりつく。
『性欲は、食欲や睡眠欲と同じですからねぇ。』
ホットケーキ好き?
いつ食べるのが好き?
どこで食べるのが好き?
何つけて食べるのが好き?
あわせるドリンクは何が好き?
…それと同じ感じで
話し合えたら、と僕は思うんですけど。
武田さんは、そういった。