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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第16章 指輪



『で、どした?』

『え?』

『なんか用があって来たんだろ?』

『…ちょうど、仕事の帰りでね。
今なら一緒に帰れるかな、と思って。』

『それだけか?』

『んー、』

『何だよ?』

『…あのね、次の週末、
ちょっと東京行ってきていい?』

『構わねぇけど?』

『マンションがね、売れたみたいで。
名義の変更とかで印鑑いるんだって。
郵送でもいいんだけど…』

『…旦那と直接会って、
気持ちもカタつけてきたいんだな?』

『うん。』

『行ってこいよ。』

『…一緒に、行く?』

『行かねぇ(笑)こっちで待ってる。』

『だよね(笑)』

『…それをわざわざ言うために来たのか?
帰って飯食いながらでもいいのに。』

『うーん、そうなんだけどね、
家の中で、前の旦那の話、したくなかった。
あそこは、私と繋心の生活の場、だから。』

…ちょうど、いつもの道に差し掛かる。

二つの実家と1つの離れ。
生まれたときから見てきた風景。
きっとこれからも見続ける風景。

もう、俺もアキ姉も
人生の折り返しに来てるかもしれない。
だからこそ、
思い出より、
これからの毎日を
大事にしていかねーと。

やっとこの歳で気付いた、大切な人だから。

『よし、この話は、ここで終わり。
腹減ったなぁ!今日の晩飯、何?』

『もう遅いから、簡単に、豚キムチ。
アボガドとトマトも切ろうかな。
お豆腐もあるし、昨日のヒジキもある。』

『うわー、早くビール飲みてーな!
よし、豚キムチ作るの、手伝うわ。』

『つまみ食いは手伝いには入らないよ?』

『バレてっか(笑)』

…こんな普通の毎日が、
ずっと続いてほしいと思う。

大事な人と一緒に歩く。
笑いながら、飯を食う。

時々、ケンカをしながら、
仲直りするたびにもっとわかりあえて、

悩んだら支えあって、
文句言いながらも一緒に眠って、

傷ついたら抱き締めあって、
嬉しいことがあったら喜びあって、

最後は
『出会ってくれてありがとう』
『幸せだったよ』『楽しかったね』
って言いながら、涙を流せるような

そんな日々を過ごしたい。

この気持ちを、
どう表現していいのかわからないけど。


"丸い形は、『終わりがない』
つまり『永遠』をあらわす"

アキ姉に、
俺の気持ちを託した"丸い形"を
贈りてぇな…

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