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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第16章 指輪



久々の実家は…
とてつもなく、居心地が悪かった。

『アキちゃん、ごめんね、
ホント、とんだバカ息子で。』

『おばちゃん、あたしこそ。
3日もお世話になりました。』

『娘みたいなもんだから。
ケンカしたら、また来てよ。』

…冗談じゃねぇ。
もう二度と、ケンカなんかしねーぞ!

俺の存在は全くスルーされたまま
会話が続く。

『お世話になったお礼がてら、
おばちゃんも食べよう、"謝罪ケーキ"。』

『へぇ、これは苺タルトじゃなくて
謝罪ケーキって言うのかい?』

『そうそう。世界に一つだけの特別なケーキ。』

『どれ、コーヒー淹れていただこうか。』

『あ、じゃ、おばちゃんには、こっち。
"ごめんなさい"のプレートね。
私は、"もうしません"の方、もらお。』

『アキちゃん、カットする前に
写真撮っといた方がいいんじゃない?
まーた何かあったときに、
これをバーンと見せてやらなきゃ。』

『そうだね!おばちゃん、さすが!』

…息苦しくて、死にそうだ…

『おい、先に離れに戻っ…』

『え?お前、ケーキの配達じゃなくて
アキちゃん、迎えに来たんだろ?
ちゃんと連れて帰らんけ、このバカ息子!』

『…はい…』

これならアクセサリーをおねだりされる方が
まだマシだったかもしれない…

『ん~、おっいしい🎵あそこの苺タルト、
初めて食べた!これでいくらすんの?』

はっ!!
思い出した。

『アキ姉、非常に言いにくいんだけど…
3500円にあと18円、足りなくて…
明日まで、支払待ってもらってんだ…
あと18円、借してくんねーか?
来月、必ず返すから!
もう、人生最後のお願い!』

かーちゃんとアキ姉が、顔を見合わせる。

…雷を覚悟したとき、
アキ姉の笑い声が聞こえた。

『もう!ほんと、繋心ったら…』

『アキちゃん、こんなバカ息子、
面倒みてもらって、ホント、ありがとね。
こんなのに育てた親の責任、ってことで
ケーキ代はあたしが払うから。
繋心、あんた、アキちゃんのお金、
全部、返しなさい。』

『おばちゃん、それじゃ繋心の反省が…』

『誰がタダで払うもんね。
繋心、明日から午前中は
おとうさんに代わって配達やんな!』

…はい。
としか、言いようがねぇ。
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