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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第16章 指輪




朝が来ても、夜になっても、
アキ姉は帰ってこなかった。


おはよう、にも
ただいま、にも
返事をしてくれる人がいない。

テレビのチャンネル、
好きなものを好きなだけ見られるのに
まったく、つまらない。

飲みながら寝落ちしても
文句を言う人はいないのに、
こんな時に限って、眠れない。

何より、暗い家に帰るのが、辛い。

電気をつけて出掛けるけど…
明るさの問題じゃなくて、
家の中に輝きがないのが、辛い。


ついこの間まで、
"自由でいたいから結婚しない"
…なんて言ってた自分と
同じ人間だとは思えないほど、

一人の自由が、辛かった。


******************************


『烏養さん、やつれてません?』

体育館での練習中、西谷に心配された。
簡単に事情を説明すると、西谷は

『その先って、もう、
別れるか結婚するかの二択って感じっすよね。
それで歩み寄れなかったら、多分ダメっす。』

『おい、イヤなこと、言うなよ。』

『でも逆に言えば、
それで仲直りできたら、
結婚しても大丈夫っすよ、きっと。』

『…そんなもんか?』

『金銭感覚、絶対、結婚する前に
確認しといた方がいいっすもんね。
烏養さん、
自分が悪かったって思ってるんっしょ?』

『…今回に関しちゃ、全面的に俺が悪い。』

『じゃ、もう、ちゃんと謝るっ。
なんと言われようと、全力で謝るしかない!』

うん、謝ろうと思ってるんだ。
思ってるんだけど、
いないんだよ…

『謝って、許してくれっかな?』

『それで許してもらえなかったら、
そこまでの縁だった、ってことですよ。』

こんなことで、
自分の縁を確認することになるとは…

俺らしい?
いや、そんなことより
アキ姉に申しわけねぇ。
もっと、頼れる男でいたいのに。
ちゃんと守れる男でありたいのに。
身近な存在過ぎて、気心、許しすぎてた…

クーーーーーーーッ!
後悔ばかりが思い浮かぶ。

もし、謝れるなら、
もし、許してもらえるなら、

俺、ぜってー、生まれ変わる。
こんな後悔、二度としたくねぇ。

…これほどアキ姉が大事だと、
今、気付いた。
もう、遅いかな…


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