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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第16章 指輪



『…繋心君、歳、いくつ?』

『さ、39。』

『遊びは、借金してまでするもんじゃない、
って知らなかった?』

『知ってる、けど、たまたま…』

『ましてや
“なければかーちゃんに借りる”…って。
どんだけ甘えた親不孝息子?』

…逆らうまい。何を言っても言い訳だ…

『その通りだと、思います…』

『ご希望の2万円には到底及びませんけど、
この3482円は、返さなくて結構です。』

そこまで言うと、
アキ姉は、ガタン、と、立ち上がった。

『色々、考えたいから。』

ふすまの向こうに消えたアキ姉。
ヤバイよな、この流れ…
引きこもるつもりだろうか?

こんな時でも
『ゴメン』って言って
後ろからギュ、の戦法は通じるのか?

…とてもそんな雰囲気じゃねぇけど…


思っていたより早く、ふすまが開く。
よかった、と思ったのも束の間、
手に下げられた大きなバッグに
視線が固まる。

『お、おい、アキ姉?』

こっちを見ずに、玄関に直行しながら
声だけ残して。

『お金にだらしないの、一番、キライ。
悪いけど、今、顔、見たくない。』



そのまま、

一度も振り返らずに、

出ていった。

玄関ドアが閉まる音が、
地獄の門の閉まる音に聞こえた…。




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