第16章 指輪
『アキさんと、うまくいってんのか?』
ある日突然、滝ノ上に聞かれた。
『急に、なんだよ。』
『あのさ、前も言ったけど、
もしいずれ結婚するとしたら、
今が最後の恋愛期間だぞ。
ちゃんとデートとかしとかねーと
絶対、後悔するからな。
家の中でゴロゴロなんて、
この先いくらでも出来るんだから。
恋愛、面倒くさがるなよ!』
…そういえば、アキ姉とデート、
今まで一度もしたことねぇな。
今までの恋愛は、俺が実家暮らしだから
彼女に会おうと思ったら、
外に出掛けるのが 当たり前だった。
でも、今は一緒にすんでるから
わざわざ二人で外にいくったって
"おすわり"で飯食う時くらいだ。
たまには、どっか出掛けてみるか。
そう思って、
週末にある地元の花火大会に誘ってみたら
すっげー喜んで約束してくれた。
『ね、浴衣着て行こうよ!』
なんて言われると、ちょっとテレる。
でも、あまりにも嬉しそうで…
少し、反省。
"つきあおう"って言っておきながら
主婦みたいなことばっかりさせてる。
本当はもっと"彼女"らしく
大事にしてやんなくちゃなんねーよな…
今、俺たちは
"恋人同士"っていう間柄なんだから。