第16章 指輪
あ、1回だけアキ姉に
ヤラレタことがあった。
アキ姉は、どうしても
夜、ちゃんと台所を片付けて、
電気を消してから寝たい、らしい。
でも、家で晩酌する俺は、
アキ姉が先に寝た後も
ついついテレビをつけたまま、
飲みかけ、食べかけのままで
寝落ちしてしまうことがあって…
『朝、起きたときに
変なテレビがついてたり、
前の夜の片付けからするのは、
1日のスタートの気分が崩れるから
すっごくイヤ!!』
と、しっかり者のアキ姉には
それがどうしてもイヤなんだと。
何度かそれを言われながらも、
ほら、寝落ちって、
しようと思ってするわけじゃねーからさ。
(アキ姉は、それも言い訳だと言う 苦笑)
何回目かに同じ事をやってしまった時、
朝、テレビの前で目が覚めたら、
俺の足の爪全部に、
キレイに青いマニキュアが
塗られていたことがあった。
目が覚めたら
自分の足の爪が全部青いって、
そりゃ、おったまげるぜ?!
何がおこったかわからずに
わーわー騒いでいる俺を見て
ニヤリと笑いながら
『手の爪に塗らなかった私って優しいよね…』
と言ったアキ姉の顔。
悪魔のように楽しそうだった😓
『三日たったら消してあげる』って
言われて、ま、三日くらいなら
靴下はいてりゃいいか、と思ったのに、
翌日うっかり、嶋田たちとサウナに行って
素足を見られてしまい、大笑いされた。
『仲いいなぁ。』
『新婚さんかっ。』
…と冷やかされたのがたまらず、
帰ってからソッコー、頭を下げて
消してもらったけど…
俺に言わせりゃ
『気持ちよく酔っぱらいながら眠って
何が悪い!』って感じ。
でも、それ以外のことは大概、
アキ姉が俺に合わせてくれてるから、
そこは強くは出れなくて…
気がついたら最後には、
俺が『以後、気を付けます。』と
言っていた…
西谷にその話をしたら
これまたゲラゲラ笑いながら
『それでいいんじゃないスか?
嫁の機嫌をよくすんのが、
男の一番の仕事ですって!』と
これまた名言みたいなことを言ったけど、
言っとくけど俺達、
結婚してねーからなっ?!
アキ姉は、嫁じゃねー。彼女だ。
…説得力、ねぇよな(ー_ー;)