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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第16章 指輪


『俺さ、』

正直に、言っておかねーと。
じゃねーと、今日、抱いたことが
勢いだって思われたらイヤだから。

『結婚とか、ピンとこねーんだ。
家族養うほど甲斐性ねーし、
今の暮らしも気に入ってる。
でも、それとは別で、
アキ姉のこと、好きだ。
このまま一緒に暮らしてたら、
また、手ぇ出しちまうかもしんね。
この年齢で、
結婚考えずに付き合いたいとかって
ズリいかな?』

アキ姉が、笑った。

『正直だね。』

そして、続けて言う。

『今日、抱かれて、すっごく幸せだった。
セックスを気持ちいいと思ったの、
ほんとに久しぶりで…
繋心の優しさも男らしさも、嬉しくて。
だから、また、抱いてほしい。』

『アキ姉も、正直だな。』

『でしょ(笑)
でもさ、つきあうかって改めて言われても、
明日から何が変わる?ってくらい
もう、つきあってるみたいなもんじゃない?』

『…そういえば、そうだな。
一緒に暮らしてるしな。』

『同居が同棲になるくらいで、
後は、時々、寝るかどうか、の違い?』

『あ、でも、』

…ついでだ。言っておこう。

『“同棲”だったらさ、俺、
アキ姉と同じ部屋で寝たい。』

『(笑)そうだね、それ、大事。』

『…アキ姉は、もう一度、結婚してぇか?』

『…今は、まだ無理。
正直言って、前の気持ち、ひきずってる。』

理由は違うけど、
今はまだ、結婚は考えない、ということで
意見が一致して、正直、ホッとする。

『じゃあ、ちゃんと言うな。
アキ姉、俺とつきあってくれ。』

こっちをチラッと見たアキ姉は、
頬を少し赤くして、コクコクと頷いた。

…やっぱり、女なんだな、と思う。

『…こんな近くに、
そんな事言ってくれる人がいるなんて
思いもしなかったな。
帰って来て、よかった…』

俺の肩に頭を乗せてきたアキ姉を
ギュッと抱き締める。


…明日からは、同居じゃなくて、同棲だ。
何か、変わるんだろうか?
これからどんな毎日が始まるんだろう?

そこでワクワクしてた段階で、
俺は、甘ちゃんだった。

…どんな毎日?
それは、滝ノ上達が言っていた
"現実の繰り返し"という毎日。

遠慮がなくなった分、
"他人と暮らす"ということのリアルさを
思い知る毎日だ。

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