第15章 100回目のプロポーズ

(エピローグ)

夏は結婚式が少ないシーズン。
今日は披露宴ではなく、
海外へ留学されるお二人の
合同壮行会が開かれています。

会場内には、早瀬様の受賞作品を始め
たくさんの絵画が飾られていて、
いつもの披露宴会場とは少し違う、
文化的な雰囲気が漂っています。

ただ、参加しているお客様は、
どちらかというと、文化的というより
活動的な顔ぶれが多いような気が…(笑)

会場に来られた時は
ラフな普段着だったお二人も、
主役ということで、今は、正装。

影山さまは、
留学先にあわせてご両親が誂えて下さった
イタリア製のオーダースーツ。

早瀬様は、
成人式の時に着たという振り袖姿。
紫地に絞りで描かれた大柄な花紋様が
個性的な古典柄です。
トレードマークのメガネもはずし、
三つ編みをアレンジしたクラシカルな
ヘアスタイルが振り袖によく似合います。

…その姿が気になるのか、影山様が時々、
チラチラと早瀬様の方を見ている姿が
ほほえましくて…。

なんでもこのお二人、実は高校時代からの
長いお付き合いなんだそうです。

ご友人の皆様も、その辺り、
気になっていらっしゃるみたいですよ。