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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第15章 100回目のプロポーズ


『そんでね、もう、
どうせ挑戦するならって思って、
東京の美展に応募したら、獲れた。大賞。』

『…え?』

『とれたの、大賞。一番。』

『ま、まじか?』

『うん。
で、副賞が1年間のフランス留学だから、
あたし、行ってくる。
宮城より遠くなるけど、いいよね?』

…唐突だな。びっくりすんじゃねーか。
笑いが込み上げる。

俺が"イタリアに連れていってやる"
なんて意気込まなくても、
ちゃんと自分でチャンス掴んだな。

"信じてる"なんて言いながら、
オレ、本当は
信じきれてなかったのかもしんねぇ。

…こいつに驚かさせられんのは
今に始まったことじゃねーけど。

『フランス、いつから?』

『今度の秋…10月から。』

『俺も、10月からイタリアだ。
こっちは半年だけど。』

『え?留学?決まったの?さすがトビオ!
有言実行じゃん、カッコいい!』

…アキの言葉だけで、
さっきまでとは全然気分が違う。
アキが喜んでくれるだけで、
ものすごく嬉しい…

俺がポケットから取り出した通知を
マジマジと見ていたアキが、
ふと、顔を上げた。

『ね、トビオ、』

『あ?』

『フランスとイタリアってさ、
宮城と東京より遠い?近い?
ご飯食べに行ったり出来る?』

…でた。アキのビックリ発言。

ヤバイ、俺、もうワクワクしてる。
アキがそばにいる、この感覚。

『場所にもよるけど…
多分、電車で7時間とか8時間だぞ、確か。』

『えーっ!
じゃあ、九州と宮城、みたいな感じ?』

『それ、国内じゃねーか。
イタリアとフランスは、そもそも国が違うし。』

『そっか…じゃあ、
気軽にご飯食べには行けないかもね…残念…』

『かもね、じゃなくて、無理だろ!』

残念そうな顔のアキ。
それが面白くて…嬉しくてたまらない。

アキの頭の中にはもう、
外国の風景の中、
俺と二人でテーブルを挟んで座る姿が
思い浮かんでるんだな。

イタリアとフランス。
遠距離恋愛に違いない。

でも。
少なくとも、
イタリアと日本より、
フランスと日本より、
イタリアとフランスは、ずっと近い。

同じ時期に
同じヨーロッパの空の下で
それぞれの夢を追える。
今までのことを思えば、
距離の問題なんかより、
その現実が、すごく嬉しい。

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