• テキストサイズ

ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第15章 100回目のプロポーズ



新幹線が、ホームに到着する。

『…じゃあな。』

『毎日、連絡するから。』

『そんな約束、すんな。
連絡来ない日が心配でたまんねーだろ。
…何かあった時だけ連絡しろよ、
いいことでも、辛いことでも。
そん時はどんだけでも時間作るから、
何でもない日は、
少しでも、自分のために時間使え。
お前、描き始めたら、
他のこと、考えらんねーんだろ?
自分が一番、わかってんだろ?』

『それでいいの?』

『いいよ。わかってっから。』

アキは、絶対に俺を裏切らない。
アキは、絶対に夢を叶えて、俺の所にくる。
そう信じてるから。

『じゃ、俺、行くから。またな。』

『トビオ!』

新幹線に乗り込む俺の手を
アキが引っ張る。

『なんだ?』

『…信じてくれて、ありがと。
私も、トビオの言葉なら、信じられる。』

気がつくと、小指と小指が絡まっていた。
これはきっと、アキの心のお守りだ。

誰にも気付かれないように、
その指に力を込める。

"信じてっぞ"
"頑張れよ"
"待ってるから"

…そして

"大好きだ"

全部の想いを込めて。

照れくさくて、
言葉には出来ない。

でも、大丈夫。
アキには絶対伝わってる。


アキの気持ちも、
小指を通して
俺に、伝わってきたから。

"信じてくれてありがとう"
"頑張るのはお互い様だからね"
"いつか必ず、近くに行くから"

そして

"大好き!"

…アキの気持ち、
全部、受け取ったからな。


小指が解けるとすぐに、ドアが閉まった。


新幹線が動き始めると、
アキの姿はすぐに見えなくなる。

…すぐに見えなくなる、ということは、
それだけすぐに会える、ということだ。

遠距離恋愛、ということは、
離れていても、気持ちは繋がってる、
ということだ。

だから、俺たちは、大丈夫。

…東京までの道のりの中で
何度もそう自分に言い聞かせた。

それが、
俺たちの遠距離恋愛の始まり、だった。



/ 1378ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp