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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第15章 100回目のプロポーズ




そうしているうちに、
チェックアウトの時間が迫ってきた。

『アキ、とにかく、ここ出るぞ。
朝飯は、どっか外で食おう。』

脱ぎ散らかしたままの服を集めていたアキが、

『トビオ…これ、ごめん。』

と、俺のワイシャツを拾い上げた。
くしゃくしゃのうえに、
アキが泣いた右肩は、
こすれた化粧や乾いた涙で汚れている。

『あぁ、構わねー。
どうせ滅多に着ないシャツだし。』

…とは言ったものの、予定では、
昨日のうちに日帰りで戻るつもりだったから
着替えがない。

『あ、そういえば。』

昨日の西谷さんの引き出物のバッグを探る。
…あった。

『昨日、Tシャツもらったんだ。
とりあえず、これ着るから。』

ガバッと袖を通した俺を見て、
アキが転がりまわって笑ってる。

『なんだよ?』

『…トビオ、ごめん、ほんと、ごめん、
笑いが止まらない~。』

『だから、なんでだよ?!』

『ちょ、鏡で自分の後ろ姿、見てみて~。』

…鏡に写った自分の後ろ姿を見て、
俺も吹き出した。

"家庭円満"と、大きな筆文字で書いてある。

…西谷さん、
今でも四文字熟語、好きなんスか?
てか、これ、引き出物にします?普通…

『ものすごく、トビオらしくない言葉!』

アキが、涙を拭きながら笑ってる。

『お、俺が選んだわけじゃねーし。』

一応、ちゃんと言い訳しておく。

でも。
俺らしくない、っていうのは、
ちょっと違う。

今、この文字を見て笑ってるアキと
結婚したい、
家庭を持ちたい、
…と思ってるのは、事実だ。

そこんとこ、ハッキリさせとかないと。

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