第15章 100回目のプロポーズ
しばらくして、
アキが風呂から出てきた。
ふんわりと
湯気に包まれた姿を見ていると
今すぐにでも
押し倒したい気持ちになるけど、
夜は、長い。
久々の…いや、違うな、
アキと夜を過ごすのは初めてだ…。
考えただけで、全身の血液が
猛スピードで流れ出す。
シャワーを浴びて、
気持ちを整えてから臨みたい。
『アキ、おとなしく待ってろよ。』
『うん。』
…かわいい声で頷いて
こっちを見たアキのメガネが
下半分、湯気で曇ってて、
また、笑ってしまった。コントか?!
普通の一瞬一瞬が、
アキといるだけで、
何でこんなに面白いんだ?
自分の肩の力が抜けて
眉間のシワが消えるのがわかる。
もう、たまんねぇ。
一緒にいたくて、たまんねぇ。
先のことはわかんねーけど、
少くとも今夜は、アキを離さない。
…頭からシャワーを浴びる。
冷静になりたくて。
明日、何時の新幹線で帰ろうか、とか
西谷さんに、二次会行けなかったこと、
後で電話して謝ろう、とか
いろいろ考えてみるけど、
何一つ、まともに考えられない。
ただ、
ただ、アキを抱きたい。
それだけで、頭がいっぱいだ。
アキを、抱きたい。
アキを、抱く。
アキと、朝まで抱き合うんだ。
夜じゅう、アキとつながって、
今夜、
アキの全部を、俺のものにする。