第15章 100回目のプロポーズ
『う…あの、あれだ、ほら、えーと…』
こんな状況で、
肝心なことを聞くわけにはいかねーだろ。
でも、だからといって
『この後、空いてるか?』とも聞けねー。
…もしかしたら、今、いる仲間の中に、
アキの彼氏とか、いるかもだし…。
口ごもっている俺に、
アキが、のんびり話しかけた。
『ね、泣ける話?笑える話?』
ん?なんだ、それ。
…久しぶりに感じる、この???な気持ち。
そうだ。
これ。
これが、アキだ。
『ねぇ、どっちの話?』
『わ、笑える話だ。』
『じゃ、聞く。ちょっと待っててくれる?
片付け、終わらせてくるから。』
アキが荷物を積み込んでる間、
俺は、二次会幹事の縁下さんに電話した。
『縁下さん、すみません。二次会、
今からでもキャンセル出来ますか?』
『何だよ、ドタキャンかぁ?…
あ?もしかして例の彼女?
見に行ったらバッタリ会っちゃった?』
『…え、はぁ、そんな感じっぽく…』
『そっか、それなら、許す!
こっちは心配いらないよ。』
『ホント、すんません。』
『いやいや、気にすんな。
男って、そういう生き物だからな(笑)』