第15章 100回目のプロポーズ
『…トビオ、どうしてここに?』
『西谷さんの結婚式で、今朝、戻った。
今から、二次会。…アキは?』
知ってるけど。でも、知らないふりをした。
…こっそり見てきた、なんて、言えねーよ。
『あたしは、
すぐ近くのビルで仲間とグループ展してて…
今から、その片付け行くとこ。』
言葉が、出ない。
会えた。
諦めようと思った時に、
会えた。
どうしよう。
このまま?
どうする?
俺、どうしたい?
アキが、先に口を開く。
『…私、片付け、行かなきゃ…』
『あ、あぁ、そうだな。
元気そうで、よかった。
会えてよかったよ…じゃあな。』
そう言って、歩き出す。
アキは、ビルの方へ。
俺は、街の方へ。