第15章 100回目のプロポーズ
駅前のケヤキ並木に、
まぶしいオレンジ色の夕陽が射す。
久しぶりに見る、宮城の夕暮れ。
…俺、やっぱり、この色の夕焼けは苦手だ。
アキと別れた日のことを思い出す。
そう思うのに、
それでも目を奪われるほどキレイな夕焼けで
思わず立ち止まって、空を見上げた。
アキは毎日、
この街の風景を見てるんだな。
20歳をすぎて、
きっと美人になってるんだろう。
…メガネに三つ編みの制服姿しか
思い浮かべられない自分がおかしい。
じーさんみてーだな。
時が止まってる。
…思わず、苦笑いする
行こう。
俺も、立ち止まってはいられない。
今日、会えなかったということは、
やっぱりもう、
縁が途絶えてる、ということだろ。
それが、現実だ。
…頭を振って気持ちを入れ換え、
二次会会場へ行こうと、
街へ向かって歩きだした。
そして、
すれ違う。
別れた日によく似た、夕日の中で。
ドラマのように、
周りの風景がモノクロになり、
俺達にだけ、
色がついたような気がした。
同時に、お互いの名前を呼ぶ。
『…アキ?!』
『…トビオ?!』