第15章 100回目のプロポーズ
披露宴の後の二次会まで、
少し、時間がある。
…俺は、日向たちと一旦別れて一人で歩いていた。
行き先は
…というか、行くつもりかどうか、
正直、自分でもわかんねーんだけど…
このまま真っ直ぐ歩けば、
駅前の新聞社に着く。
会いたいからじゃ、ない、はず。
むしろ、
そこに"アキがいない"ということを
確かめたいから。
"そんなに都合よく、会えるわけない"
ということを確かめたいから、だ。
…そうやって、自分に言い訳しながら。
3年も、音沙汰ナシだった。
俺はその3年で、二人の女とつきあった。
アキへの本当の気持ちに気付くまで
3年もかかった。
いまさら、
どんな顔したって会えねーだろ…
じゃ、行かなきゃいい、とも思う。
でも、踏ん切りをつけたい、というか。
会えなければ、
それが、
いさぎよく諦めるきっかけになりそうで。
…とか、ぐずぐず考えている間に、
着いた。
着いてしまった。
駅前の大きなビル。
俺達が高校生の頃からあったのだろうか?
初めて、足を踏み入れる。
階段で2階に上がると、
そこは確かに、喫茶店とギャラリーになっていた。
入り口に貼ってあるポスターに、
アキの名前もある。
それを見ただけで、心臓が、跳ねる。