第15章 100回目のプロポーズ
…違う。
俺は、“アキじゃなきゃ”ダメだ。
他の女とつきあってみて、わかった。
アキは、
自分が、自由にしてただけじゃない。
俺のことも、自由にしてくれてたんだ。
思い出してみると、あの頃の俺は、
バレーをしたいときは
バレーのことだけ考えてたし、
アキに会いたいときはいつでも
アキに会えていた。
当たり前だと思っていたけど、
多分、違う。
俺がバレーに集中してるとき、
アキは、俺に会いたくても
多分、遠慮してくれてたんだと思う。
俺がアキに会いに行った時は
多分、少し、自分の事を後回しにして
俺を優先してくれてたんだと思う。
そう気付いた時には、
アキと別れて、3年以上が過ぎていた。
俺、バカだ。
あのとき、もしそれに気づいていたら、
アキがどんなに
別れようって言っても
手放さなかった。
アキの俺への100%の優しさを
"相性がいい"くらいに思ってた。
…もう、アキのあの優しさは、
他の男に向けられているのだろうか?