第15章 100回目のプロポーズ
つないでいた手を引き寄せて
アキを抱き締めた。
『アキ、俺たち、
そうするしか…別れるしかないのか?』
『…ずっと考えてたけど、
他に思い浮かばなかったよ…』
『…お前、別れて、後悔しねーか?』
『…わからない。
でも、私、トビオのお荷物になるのは絶対、ヤだ。
トビオのそばにいられない道を選んだ
自分を後悔するのも、ヤだ…』
未来って、
明るくて希望に満ちてると、
ついさっきまで思ってた。
でも、その未来は、
アキといることが前提だった。
アキがいない未来…
まったく想像できねーよ。
とたんに、
光も希望も見えなくなる。
だけど。
今、どんなに
"お前しかいない"って言っても
離れて暮らすこの先を
保証することはできない。
アキが俺以外の男に惚れることが
絶対ないとは言い切れないし、
俺が、この先、一生、
他の女に触れない、とも言い切れない。
『アキ、もう一回だけ聞くぞ…別れたいのか?』
…言葉が出ないほど、アキは泣いていた。
でも、
"うん"と頷いたのは、間違いない。
…決めてたんだな、もう。
こうなると、こいつは頑固だから。
それは、俺が誰より知ってることだから。