第15章 100回目のプロポーズ
もうじき、陽が暮れる。
『アキ、一緒に行きたい所がある。』
俺がアキを連れていったのは、
あの絵の風景を見渡せる場所。
俺が初めてアキの名前を知った、
進路指導室前で見た、あの絵の風景だ。
ピンクからオレンジにむかって
グラデーションで街を染めていく夕陽。
俺たちの、高校生活最後の夕陽は、
あの絵と、同じ色だ。
1秒ごとに色を変えていく空が
俺の気持ちを焦らせる。
陽が暮れる前に…
顔が見えなくなる前に、伝えないと。
ここしばらく、ずっと思っていたことを。
『な、アキ、
大学卒業したらさ、俺たち、結婚しよう。』